早速ですが,「ダイエット」とは,具体的に何をどうすることを意味するのでしょうか。
「どうしても着たい服があるから,体重を2ヶ月で10kg落としました!」
こういった極端な減量は,食事をほとんどしなければ実現できるかもしれません。
しかしその際に行ったことは,「ダイエット」と呼べるものなのでしょうか。
もちろん人それぞれダイエットの捉え方は異なって構わないのですが,このサイトでは「ダイエット」を「美しいボディラインまたはカッコいい体型を健康的に手に入れるためにする行為」と定義します。
そのため,先の例のように「ただ体重を減らして痩せる(というかやつれる)」ことは,ここではダイエットと呼びませんし,メリハリのついた身体を作るために,「ダイエットをした結果,体重が増加する」こともありうるわけです。
1日に消費されるカロリー量とは
ダイエットを行う前に,一日に自分が消費するカロリーについて知っておきましょう。
具体的には,「基礎代謝量(呼吸するとか,心臓を動かすために必要なカロリー)+生活する上での消費カロリー(運動や家事など)」で計算されます。
基礎代謝量の平均は,女性で1100kcal,男性で1500kcalくらいです。
生活する上での消費カロリーはその1.5倍~2倍になることが多く,これらを合計してみると,ほとんど動かない女性で1650kcal。
体育会系の男子では3000kcalに達することもあります。
ここで,どうして運動部に所属する人たちがあれだけバクバク食べられていたのか,一つ秘密がわかったことでしょう。
彼らは運動して筋肉が発した熱量の分だけ,エネルギーを食事から摂取しないといけなかったわけです。
「お前,それしか食えねぇの?よっわ」などと体育会系の仲間によくからかわれましたが,そのコメントは「普段それしかカロリーを消費していないのか。筋量が少ないのは男として情けなくない?」とほぼ同義だったと解釈できるわけです。
筋肉の量が少ないと,基礎代謝量も減ってしまいます。
もっとも,先の売り言葉には,「確かに運動は普段していないけれど,少なくとも君たちと同じ時間,私は勉強や芸術に時間を割いているわけで,単に食事量だけを根拠に,他人の行き方や魅力を非難するのは筋違いだ。」と買い言葉を返せるわけですが,実際は運動もある程度しておきたかったものです。
ダイエットにおける2つのアプローチ
さて,以上のことを踏まえて考えると,ダイエットに2つのアプローチがあることにも納得できるでしょう。
それはつまり,「摂取カロリーを減らすアプローチ」と「消費カロリーを増やすアプローチ」です。
前者については食事制限をするイメージ,後者では身体を動かすイメージを持つようにしてください。
このアプローチは,同時にどっちもしなければならないわけではなく,どちらか一方だけ採用するだけでも確実に効果は出てくるので,実際に1つずつやってみて,無理のない範囲でどうするか判断するべきだと思います。
ただし,理想の体型を実現するまでにもう日数が残っていなければ,両方とも採用しないといけない場合もあるでしょうし,本などを読んで知識を付けることも,無駄のないダイエットには有効でしょう。
摂取カロリーを減らすアプローチ
まずは摂取カロリーを減らすアプローチについてですが,どんな人に向いていないのか考えてみましょう。
それはずばり,「食べるのが何よりも好きな方」です。
摂取カロリーを減らすということは,概して,食べる量を減らすことにつながるわけで,それはつまり,自分の好きなものが食べられなくなることにつながってしまいます。
よって「食べている時に自分は幸せを感じる」と言うような方に,このアプローチは向いていません。
食べられないことがストレスになると,暴飲暴食やダイエットの挫折につながる危険性が高まってしまうでしょう。
ですがこのアプローチ,運動習慣がない人にとっては,より楽に痩せられる方法です。
例えば,脂肪を1kg落とすには7200kcalものカロリーを消費する必要があります。
これを仮に1ヶ月で実現しようと思ったら,1日にシュークリームや大福1個を減らすだけで実現できる数値です。
しかし,同じカロリーをジョギングで消費しようと思ったら,1ヶ月でなんと120kmも走らなければなりません。
これは1日あたり4kmも走ることと同値です。
こう聞くと,すごく辛いことではありませんか。
ちなみに,この食事制限アプローチを選択すると,食べるものについて意識せざるをえなくなります。
「主菜はこれ,副菜はこれ,メインのおかずはこれにして,果実や乳製品はこれにしよう」などと考えられるようになると,それは今後の人生にも役立つでしょう。
なお,最近観た番組では,世界ジュニアフィギュアスケートのチャンピオンになった本田真凜さんが,ノートに細かく栄養の記録をつけていたのが印象的でした↓↓
最後にこのアプローチを採用する場合の注意点についてまとめておきましょう。
「よーし,今日から3日間何も食べないで,1キロ痩せてやる!」というのは,理論上正しいことのように思われますが,実は人間の身体には飢餓状態に陥らないような大変優れた仕組みが備わっています。
人類の進化を考えると,飢餓状態に置かれることが多かったのでしょう。
急激に摂取カロリーが減ると,身体の方が,「これはまずい,省エネモードに切り替えよう」と,基礎代謝量をグンと下げてしまうことがわかっています。
そのため,これまでは一日1100kcal消費していた身体が,例えば800kcal程度しか消費しないようになってしまい,逆に痩せにくい体になってしまうというわけです(数字は一例です)。
なお,人間の身体は「痩せるより太る方がまし」と考えています。
似たような意味のセリフとして,「体温は低いより高い方がまし」,「血糖値は低いより高い方がまし」といったものがありますが,とにかく「ましじゃない方向に身体を追い込む際に極端なアプローチは禁物」だということは覚えておいてください。
余談ですが,昆虫はもっと環境の変化への対応が顕著です。
水没して息ができなくなると,呼吸なしでも生命を維持できるように代謝を下げ,数時間後に水から取り出しても動き出すバッタや,砂漠で水がないとミイラ状態に変化し,雨が降ると蘇るユスリカなどが知られています。
そういえばこどもちゃれんじの付録で,水をかけると孵化するスズムシの卵なんてものがありました。
消費カロリーを増やすアプローチ
続いて消費カロリーを増やすアプローチですが,これはずばり運動をすることです。
とはいえ,家事も立派な「運動」ですし,入浴・勉強・おしゃべりまでもが広い意味での「運動」です。
できるならランニングをすればよいでしょうが,普段していない人が突然走り出すと大体はすぐにケガをします。
脚力が備わっていないうちはウォーキングから始めるようにして,さらには,オフィスや家の中でも,コピー機の順番や料理ができるのを待っているときにスクワットをするなどして,消費カロリーを増やす工夫をしていきましょう。
何事も心がけが大事だということです。
しかし先述した通り,この「運動アプローチ」は,前章で紹介した「食事制限アプローチ」に比べると圧倒的につらく苦しいものになります。
運動中に何度も心が折れそうになるでしょうが,そんなときは「その苦しみに見合うだけの特典が付いてくる」と自分を励ますようにしてください。
ここで言う「特典」とは,生活での消費カロリーが増えるということです。
例えば,これまで1日の消費カロリーと摂取カロリーのどちらも2000kcalでバランスが取れていた方が,運動するようになって消費カロリーのみ2200kcalに増やすことに成功したとしましょう。
すると,食事内容を別段変えなくても,トータルで200kcalのマイナスになる(つまりやせる)ことに繋がるわけです。
食事制限がつらい人は,運動によって筋力をつけてやることで,食事量を変えることをせずに痩せられることになります。
筋肉がついてムキムキになるのがい嫌だからと運動を敬遠する人がいますが,その心配は無用です。
というのも,重さ70kgのバーベルを上げ下げするくらいの負荷をかけてスクワットして数ヶ月が経って初めて脚がちょっと太くなるくらいなわけで,普通自宅でそれだけのことはできませんよね?
さらにあなたが女性であれば,ホルモンの関係で,そもそもムキムキになりづらい身体になっています。
なお,ムキムキに見えるのは,末端の部位(腕や脚)ばかり鍛えてしまうからです。
それならば,体幹を鍛えましょう。
また,腹筋が割れてみえるのは,筋肉が付くことよりも,体脂肪が少なくなった影響の方が大きく,もともと割れていた腹筋が見えるようになっただけの話です(男性だと体脂肪1桁が目安)。
なお,筋肉は脂肪よりも密度が高いため,同じ体重でも筋肉質な人の方がすらっとしています。
ダンベルを用いれば,鍛えたい部位だけをトレーニングすることが可能になりますから,メリハリを付けたい部位を中心に,毎日鏡を見ながらやってみてはいかがでしょう。
こちらも最後に注意点をお伝えしますが,こちらのアプローチもほどほどにするのが肝心です。
運動をするというのは絶えずケガのリスクと隣り合わせであり,大けがをしてしまうと社会人の場合,最悪収入(実生活)にも響いてきてしまいます。
もっとも,適度な量の運動を続けると,ケガをしにくい体つきになってくるわけで,精神的にも前向きになることができ,結果として毎日がより充実してきたように感じるかもしれません。
実際にどんな運動をするかについては,ストレッチや体幹トレーニング,ウォーキングやランニング,そして筋トレがあります。
いくつかやってみて,楽しくできるものを続けてください。
リバウンドと生存本能の関係
ダイエットを始めても,一生痩せ続けたいわけではありませんよね。
必ず終わりが来ます。
「締切期限を決めてしっかりと目標を設定し,期間内は頑張って痩せて,あとはその体重を長く維持し続ける」ことで,その体重に体が慣れて落ち着くと聞きました。
リバウンドしてしまうのは,身体的には自然なことです。
要は「痩せる前の体重が普通だ」と自分の身体は思っているわけですから,急に痩せてしまうと,身体は痩せる前の状態に戻るように働きかけます。
なので,体重を減らした後には,「これからはこの体重でいいんですよ」と身体に伝える必要があるわけです。
痩せた体重で問題が起こらないことを身体に証明するためにも,ある程度の期間,やせた体重を維持することが重要になります。
増えたら減らしますが,減っても増やすように働きかけることが重要です。
なお,黙っていると,人は夏は活動的になって痩せますが,逆に冬は冬眠の関係で,太りやすくなる傾向にあります。
こういった変動を考慮しながら,どんな体型で毎日を過ごしたいのかしっかりと決めて,自己実現を成功させてください。
まとめ
以上,本記事の要点をまとめますと,
- ダイエットには,摂取カロリーを減らすアプローチと消費カロリーを増やすアプローチの2つがある
- 食事制限をする方が,運動をするよりも楽
- とはいえ,運動には辛さに見合うだけの価値があり,痩せやすい身体が作れる
- リバウンドは意識しないと必ず起こるものなので,減らした体重を,ある程度の期間維持する
- 減量で自己実現に成功すれば,精神的にも肉体的にも健康になれる
のようになります。
是非とも頑張って,健康的なダイエットを成功させましょう!