日本に生まれた以上行くべき場所が,自分の中には2ヶ所あって,1つは富士山,もう1つが屋久島なんだよね。
そのような話を何度か友達から聞かされていたこともあって,富士登山に挑戦してみることを決めた私です。
といっても,完全に自分が主体となって企画したわけではなく,毎年富士山に登っている友達に付いていく形となり,プランとしては「五合目まではバスで行き,登頂して御来光を見てから下山する」というものになります。
なお,当日の様子は初めての富士山!吉田ルートに挑戦した体験談のところに書いているので,そちらも併せてお読みください。
私のスペックは,山といえば高尾山(標高599m)くらいにしか登ったことがない中年男性でしたが,同行者には30~40代の女性もおり,同じ方針でもって臨むことができます。
今回の記事テーマは「富士登山に必要な準備編」ということで,どのような持ち物を具体的に用意すればよいかについてまとめていきましょう!
中年の富士登山におすすめの服装
まずは,服装の準備からしていきますが,日本一の山に中年が挑むわけですから,とにかく準備は万端にして出かけましょう!
富士登山に必要な服装は以下の通りです↓
登山靴
シューズは運動靴でもなんとかなったという意見がないわけではありませんが,中年の登山では不安要素をできるだけ減らしたいため,ここは登山靴をおすすめしたいところです。
例えば,運動靴でメッシュ仕様のものだと,風が足元から入ってきますし,防水・防塵の面で悪天候への対策が不十分になります。
山の天気は荒れるものですし,砂利や砂埃が物凄いです(必須とまでは言いませんが,ゲイターの購入もおすすめで,下山道で靴底に小石が入って何回か除くような作業をせずに済みます)。
といったわけで,私は登山靴を買うことにしましたが,
重い登山靴だと逆に疲れてしまうよ。
というベテランからの意見により,メレルのMOABシリーズを選びました。
毎年のように新しい物が登場するのでそれを買えば良いと思いますが,私が購入したモアブ2は,かなり本格的な登山にも対応していて活躍できる場面が広く,ゴアテックスなので防水仕様です。
なお,タウンユースもでき,その後の雨の日や川遊びの際には圧倒的な使用頻度を誇っています。
一緒に虫採りに出かけたときの友人が,偶然この色違いを履いていた時は驚きました。
MOABシリーズは使いやすいだけでなく,値段が安めなところもポイントです。
実際に歩いてみると,地面からの衝撃が軽減され,履き心地もスニーカーのように自然で,全く滑る感じがないわけではありませんが,大きな石を踏んでも滑りにくく,小さな石を強く踏んだときに,痛みのようなものは感じませんでした。
観察してみると,実際,富士登山に使っている人が多かったので,一般的にも支持されていることがわかります。
ただし,弱点として経年劣化するところが挙げられ,複数年が経過して寿命が来ると底が外れてしまう恐れがあるため,山のベテランは針金に加えて,靴全体を縛るテープのようなものを一緒に持っていくとのことです。
とはいえ,普通に履いている分には,5~6年経ったところであまり問題ありません。
パンツ
富士登山用のパンツですが,素材に注意してください。
基本的にほとんどの服装に言えますが,綿(コットン)製のものは吸水したあとの乾きが悪いので避けるようにしましょう。
私は登山用のパンツはおろか,装備と呼べるものを何一つ持っていなかったので,今回を機に,すべてをネットで揃えることにしましたが,ブランドは定評あるノースフェイスで統一しています。
上の画像にある「アルパインパンツ」ですが,使用してみると大変に動きやすく,水もそこそこに弾きますし,蒸れる感じがなかったところが素晴らしいです。
暑い日や活動量が増える日の普段着としても役立っています。
シルエットが想像以上に細身に見えるので,口コミを信じて買ってよかったです。
実際,女性でも履いて登山している方を数人見かけました。
ところで,
最初からレインパンツで歩いたら荷物を減らせるのでは?
とベテランに尋ねてみましたが,アルパインパンツと異なり,レインパンツは防水仕様となっているために暑くなりすぎるので,常時使用は避けるべきとの返答でした。
逆に,山の高度が上の方になってくると,雨は降らなくても風や寒さが厳しくなるため,我慢ができないときにこうした雨具を重ね着するようにします。
ソックス
ソックスはスポーツ用のものだと蒸れにくいので安心です。
素足で靴を履いたり,薄手のソックスを使わないようにしてください。
私個人の意見としては,アンクル丈のものより,脛あたりまで来るソックスを選ぶことで,足首をひねるリスクが軽減されるように感じました。
枚数は,替え用だったり,脚の疲れを感じるような場面で靴下を2重にしたりするため,多いに越したことはありません。
私は3足持っていき,内2足を使いましたが,下山道では結構なダメージを足に負うことになるので,必要に応じて2重にする工夫もありかと思います。
ソックスの種類として,トレッキング用のものも売られていましたが,消耗品の印象が強いソックスだけに,ここではコスパを重視し,運動用の程よい値段のものをチョイスしました。
程々に厚みがあったので疲れにくかったですが,それ以上にシューズがしっかりしていたので問題なく過ごせたように感じています。
Tシャツ
Tシャツも,先ほどのパンツと同様の理由で,綿素材は避けましょう。
なお,登山中に汗を結構な量かくことになるので,臭いが気になる方は替えのTシャツも用意するようにしてください。
私は今後運動するときにも使えるよう,スポーツ用のものを選びました。
なお,保温着としてヒートテックなどをアンダーウェアにしてしまうと,富士山頂付近の氷点下になり得る環境下でむしろ肌寒く感じてしまいます(水蒸気を利用して保温する技術を使用しているため)。
私が購入したTESLA社のドライフィットはものすごく汗が乾きやすく,見た目には程良い高級感があり,汗をかく時期のワークアウトや寝間着にもぴったりでした。
ただし,これは見せる用のTシャツとしては不向きなため,五合目に到着していよいよ登山がスタートとなった時に着替えるくらいがよいでしょう。
私自身,家を出てバスに乗るまでの間は,この上に別のTシャツを重ね着して行きました(別にファッションにこだわる年齢でもないのですが)。
帽子
「帽子は暑い,そして蒸れる!」という人もいますが,あったほうがいいです。
というか,登山で出会ったほとんどの人が帽子を被っていました。
一般的には強い日差しを避けるために使うものですが,後述するヘッドライト(必須)を装着するときの不快感を軽減できます。
両手はフリーにしておきたいので,日傘の使用は無理です。
ちなみに,上記の「ゴアテックスハット」ですが,あご紐が付いているところに惹かれたのと,つばの広いホライズンハットであったところが決め手となりました。
ゴアテックス素材はおまけ程度に考えていましたが,実際,雨が降ると,広いつばが便利で使い勝手が良かったです。
レインコートに付属の帽子に頼らず,あえてこのホライズンハットを使う登山者も多いと聞きました。
とはいえ,同行したベテランはキャップ仕様でしたので,形はお好みでどうぞ。

雨具
雨具は上下別に分かれているものを購入するのが鉄則ですが,富士登山では,頂上の気温が,夏でも体感で氷点下になりうることに注意を払わねばなりません。
そこで,アウターにもなりかつレインウェアにもなる(さらには,おしゃれな街着にもなるという)ノースフェイスの「マウンテンジャケット」をおすすめします。
格好が良く,今回の買い物の中では一番お気に入りの一品となりました。
無論,雨具はセパレートタイプであれば量販店で買うでも構いませんが,そのとき,トップスだけではなくボトムスまでをしっかり購入することが大切です。
私は,上記のマウンテンジャケットのボトムスとして「クライムライトジップパンツ」を選び,山頂が近くなって風も出てきて寒くなった際に,これを重ね着していました。
その場合の本品は,雨具と防寒着を兼ねていることになります。
ダウンジャケット
富士登山の上半身の格好についてですが,
- ジャケット
- 薄手のダウンorフリースorトレーナー
- Tシャツ
の3種類の重ね着で対応してください。
2つ目に関してですが,これらのうち1つだけを持っていくようでは心許ないです。
例えば,1からマウンテンジャケット,2からはフリースのみ,そして3のTシャツの3点の組み合わせだけでは寒いと感じます。
ゆえに,2からは最低でも2つをチョイスしましょう。
ダウンとしてはノースフェイスの「サンダージャケット」が軽くて小さく丸められるので,運びやすく暖かいのでおすすめですが,手軽に買えるものだとユニクロのダウンが考えられます。
私はそれ以外にフリースを買いました。
その他
その他の準備品として,「手袋・下着・タオル」が挙げられます。
手袋は防寒目的だけでなく,岩場を登る際にも使いました。
軍手でも用に足りますが,もう少しちゃんとしたものだとより安心できるように思います。
雨が降った状態で軍手を使うのは辛いでしょう。
下着はスポーツ用のものにすると,乾きが早くて動きやすい素材のものが多いように思います。
消臭機能が搭載されたものもありますし,綿だと濡れると乾きづらいです。
タオルは夜の時間帯には首に巻いて風対策とし,昼間は汗対策として用いました。
意外と1枚あるだけでも十分だったりしますが,特に嵩張るわけでもないので,心配な方は複数持っていってください。
中年の富士登山におすすめなグッズ
ここからは,服装以外で富士登山に必要なグッズのおすすめを紹介していきます!
リュックサック
リュックサックですが,大きさが悩みどころです。
私は36リットルの容量を選んだのですが,45リットルくらいある方が余裕があってベターかもしれません。
前者では,今回紹介した準備を一式入れると満タンになるので,お土産は手で持って帰ることになりました。
とはいえ,絶妙な大きさのおかげで,ちょっとした小旅行にも使えるバッグとなり,汎用性は高いように思いますし,見た目も大きすぎない分,恰好良いです。
なお,雨が降った時用に「ザックカバー」を使うのですが,こういう登山用のものだと,バックパックそのものに付属しています。
さらに言うと,チューブを使って飲料水を飲むための通し穴が開いていたり,チェストストラップに,いざというためのホイッスルが付いていたりと,何かと登山に役立つ工夫が施されているものです。
普通のリュックで登山される方は,リュックサック自体の雨対策を忘れないようにしましょう。
ヘッドライト
富士山に登る際,ヘッドライト無しはありえません。
実際,ご来光を見る場合の登山道は真っ暗なので,道が見えないはずです。
現地ではランタンみたいなものを持って先導する人を1人見かけましたが,基本,懐中電灯を手に持って歩く人は皆無でした。
ところで,上のLED LENSER(レッドレンザー)は自分が好きなブランドで,虫採りに行くときや野外観察用の懐中電灯もこのメーカーのものを使っていたこともあって,ヘッドライトも同メーカーのものを選びました。
最高に明るいパワーモード(600ルーメン)での10時間連続点灯は,富士登山にかかる時間とマッチしています。
この他,ミドルモード(250ルーメン)では15時間,ロー(10ルーメン)だと120時間点灯という3段階の明るさ調節ができる他,首振りの上下や照射範囲の切り替え,そしてUSB充電といった特徴がありました。
とはいえ,残りのバッテリー量に用心するに越したことはないので,私はミドルの明るさを多用し,山小屋ではローにして節約しながら登るようにしました。
結果,電池切れになりそうな感じはありませんでした。

高山病予防薬
高山病の予防薬であるアセタゾラミドは「ダイアモックス」という商品名のものが有名ですが,私はそのジェネリック版を使いました。
高山病とまではいかずとも,富士山頂に近づくにつれて手先がしびれたり頭が痛くなったりしてきます。
深呼吸をして血液中の酸素濃度を高める工夫をした他,途中の休憩所で長めに休むこともしましたが,こういった薬を服用しておくと安心です。
私は通販サイトで海外から取り寄せましたが,心配な方は,お医者さんに処方してもらいましょう。
その場合,値段は1錠1000円くらいするとの話ですが,通販したものだと30カプセルが1000円台で買えました。
ベテランに尋ねると,当日の状況や,その人の体質によって高山病にかかるかどうかは変わるそうなので,薬の効果のほどは知る由もないのですが,少なくとも,過去2回の富士登山で私は高山病になりませんでした。
使い方は説明書に従うようにしますが,上のものは歩き出す12時間前に飲みます。
ベテランの方がパルスオキシメーター(またはスマートウォッチ)を持っていて,途中,血中酸素濃度をモニターしてくれました。
周りを見渡すと,酸素ボンベを使っている登山者を見つけましたが,私は使ったことはありません。
食料
登山中の栄養補給ですが,計3食分くらいのカロリーが必要です。
タイミングによっては,登り始めに五合目で食事することができないかもしれません。
とはいえ,途中の山小屋でパンやポテトチップス,カップラーメンなどを買って食べることができるので,沢山持っていく必要はありません。
ただし,選び方については「系統を分けること」をおすすめします。
私は初登山で,ほとんどを乾燥物にしてしまったがために失敗しました。
塩気があるおにぎりや,お湯や水で作れるドライフード(カレーやおにぎり)にラムネ菓子など,別系統の食べ物があれば,毎回が楽しい食事タイムになります。

私のおすすめ商品は「スポーツ羊羹」となります。
これは大変に美味しく,1本を2回に分けて食べることもできたので重宝しました(味はカカオが気に入りました)。
友人にあげると大層気に入った様子で,翌年以降の富士登山に持って行くことにしたとのことです。
アルファ米を使った通常の食事っぽいものも美味しいので,色々と探してみてください。
水筒
こちらには「ハイドレーション」などとおしゃれな呼び名が付いていますが,つまるところ,チューブの吸い口を付けて逆さまにして使う水筒です。
初めて使う際は水漏れしないか心配でしたが,道中そのような気配はなく,
冷凍庫で凍らせた状態で,当日保温ケースにいれて持っていくのが良い。
というアドバイスの甲斐もあって,長時間冷たい水を飲むことができました。
行きに2リットル満杯にして臨んだのですが,登山から帰ったときに調べてみると1リットル弱残っていました。
私は普段から結構な量の水を飲む人間なのですが,上のサイズで大丈夫そうです。
軽くて扱いやすく,何より値段も安いので,使い捨てにしてしまう人も多いそうですが,私は捨てずに何回か使っています(保管は,丸めた状態で冷凍庫に入れています)。
ちなみに,富士山での水事情ですが無料の飲み水はありません。
すべてペットボトルでの購入となりますが,山頂に近づくにつれて水の値段が高くなることにご注意ください。
参考までに,現地で2リットルの水をペットボトルで買う場合,400~600円(店によって違う)がかかりました。
トレッキングポール
最近はトレッキングポールを持たずに登山する人の方が少なくなっています。
この傾向は老若男女問わずです。
それだけ,多くの人に支持されていることの表れでしょう。
トレッキングポールを持ちながら歩いてみると,横の動きのブレが軽減される他,段差のある道を進む際のダメージ量が減り,より安定した歩行が可能になります。
値段が高くなるほど重さが軽くなりますが,1万円を超えてくるカーボン製は細い部分が壊れやすかったりと扱いが少し難しくなるので,上のダバダ製のようなもので折りたためるタイプが無難でおすすめです。
この他,サングラスや日焼け止め,またはラッシュガード的なものなど,普段しているUV対策をしてください。
富士山では日光を遮るものが少ないので,日差しの威力は下界よりも強いです。
まとめ
以上,夏の富士山に,中年が五合目から登山する際の持ち物についてまとめてきました。
今回紹介しきれなかったものとして,スマホ(頂上までずっと電波が入ります)やカメラ,現金(1万円で足りましたが,何かあったときのために100円玉を多めに計3万円持っていくように助言されました),さらには保険証を持っていきましたが,これらは各人のお好みで加減してください。
最後に,中年の富士登山に必要な持ち物をすべて書き出してみましょう↓
- 登山靴
- パンツ
- Tシャツ
- 帽子
- 雨具
- ダウンやフリースにトレーナー
- 手袋
- 下着
- タオル
- リュックサック
- ヘッドライト
- 高山病薬やパルオキシメーター
- 食料
- 水筒
- トラッキングポール
- 日焼け止めやサングラス
- 現金
- 保険証
- スマホやカメラ
いざとなったら,五合目である程度の服装や道具を購入したり借りたりできますが,予め備えておくに越したことはありません。
年齢が若くないだけに,しっかりと準備し,体調に気を付けながら富士登山に挑んでいただけたらと思います。
富士登山を成し遂げた感動は,疲れ切ってしまっている当日よりも,帰ってきてからの方が強いかもしれません。
ここまで読んでくださった方,大変ありがとうございました!