クオリティーの高い革製品で定評のあるホワイトハウスコックス社は,メッシュベルトなどが有名な英国の一流メーカーですが,今回は主力商品である「ブライドルレザー」についてレビューしてみたいと思います。
創業は1875年と140年以上の歴史があるホワイトハウスコックスですが,同社のブライドルレザーを使った長財布を数年使ってみました。
一つのものを大切に長く使う経験を通して,革製品の味わい方についても学んでいきましょう!
ホワイトハウスコックスについて
ホワイトハウスコックス社の名前は,創業者であるホワイトハウスさんとサミュエルコックスさんに由来するもの。
イギリスのバーミンガム北西に位置するウォルソールに本社があります↓↓
ホワイトハウスコックス社の歴史はブライドルレザー製の乗馬グッズから始まりましたが,あるとき高級百貨店ハロッズのペット用品コーナーで,同社のリードや犬の首輪に目を留めた「とある人物」によって,大躍進が始まります。
その人物の名は,ニューヨークのデザイナーであった「ラルフローレン」。
そこでホワイトハウスコックスは人間用のベルトを作ることを決め,ポロブランドとして商品化したのが大きな転機になったというわけです。
現在は5代目社長のスティーブンコックス氏が,伝統を受け継いだ確かな技術をもって,当時と同じ製法で魅力的なブライドルレザー製品を作り続けています。
ホワイトハウスコックス社のブライドルレザー
ここでは,ホワイトハウスコックスのブライドルレザーの魅力について詳しくみていくことにしましょう!
まず最初に言えること,それは「最高級のカウハイド(成牛の1枚皮)を使っている」ところです。
確かな目を持った職人が入念なチェックを行いますが,140年以上の歴史というのはそれだけで重みがあります。
良質な革は普通取り合いになりますが,その歴史がある分だけ良質なものが回ってくる流通経路があるわけです。
わかりやすい例としてはヴィトンやエルメスが挙げられるでしょう。
また,「伝統的な技法を用いている」というのも,デジタル化した現代において貴重となった人間や生き物の温かみというものを感じられるポイントです。
革を樹脂や種子などと一緒にフルベジタブルタンニンなめしを行い,色を深く浸透させるためにアニリンによる染色をしています。
そして木片を使って,獣脂とコッドオイルを配合したブライドルグリースを表面にしみこませて仕上げていくわけですが,この作業にかかる期間はなんと10週間!
あとで見せますが,この作業で完成した革は,長時間放置すると白い粉状のブルームが出てくるのが特徴で,逆にそれこそが本物のイングリッシュ・ブライドルレザーの証明にもなります。
ホワイトコックスの手入れ方法
レザー製品は買って終わりではなく,育てる楽しみがあります。
定期的に手入れをしていくことで長期間の使用ができるだけでなく,何物にも代えがたい,手放せなくなるほどの味わいが生み出されるというわけです。
ここではホワイトコックス社のブライドルレザーを手入れする方法について説明します。
まずは一年に数回行えばよいとされる大規模なケアからいきましょう!
準備する
とにかく,しっかりとした道具を用意するのが重要です。
それは,クリーム・ブラシ・布(ウェス)の3つということで,上の写真に撮っています。
クリームを塗りこむ
クリームを指に取って,薄く伸ばしましょう。
指で塗り込むと,体温によってクリームの伸びがよくなり,全体的に薄く伸ばせるようになります。
摩擦で痛みやすいのは角やへりの部分なので,その辺を中心に,念入りに塗り込みましょう。
放置する
塗りこんだ状態で30分から60分ほど放置します。
クリームの成分が革にしみ込むための時間を十分に取るというのは,意外と盲点かもしれません。
ブラッシングする
最後にブラッシングして終了です。
この時の目的は,革の表面に残ったクリームを革の内側に戻すことなので,優しく丹念にブラッシングすることがポイントとなります。
これまでの手入れにおける注意点について最後まとめると,
- 手入れをすると,革の色は濃くなる
- 布で強く擦りすぎない(傷や色抜けにつながる)
- 強くブラッシングしない(表面が傷つく)
といった感じになります。
大変な気がするかもしれませんが,メンテナンスの先に深い味わいが待っていると考えると,意外と楽しんでやれるものです。
さて,一方で普段のホワイトコックスのお手入れについては,
- ブラッシング
- 布で乾拭き
の2つだけでよく,これでも一層艶が増すと言われています。
私は手の届く位置にブラシと布を常備していて,手すきの際に愛でるようにしています(笑)
ちなみに,ホワイトコックスに向いたクリームとして「ブライドルレザーフード」が出ています↓↓
さらにショップ内を探すと,ブラシも柔らかな馬毛を用いた専用のものが出ていますし,ブライドルレザー製品に限らず,幅広い革製品に使えるものをお探しの方であれば,「レザーパーム」で検索してみてください。
ホワイトハウスコックスの長財布をレビュー
最後に,ホワイトハウスコックスのブライドルレザーを用いた長財布についてレビューしてみましょう。
具体的には,「ヴィンテージブライドルレザー ロングジップラウンドウォレット 長財布(型番S2622)」のレビューをします。
まずは外観からですが,育て甲斐のあるつややかな革です。
私が購入したものも表面に白い粉状のブルームが浮き出していましたが,先述したとおり,その蝋分こそがブライドルレザーの証明ですし,革の性質的にまったく問題ありません。
夏場はブルームが浮き出しやすいとも聞きますし,ブラッシングやクリームを使うことで目立たなくなっていくとも言われます。
ちなみに以下が2年使ったときの状態です↓↓
実際は光を反射してきれいに光るのですが,写真だといまいち伝わらないですね。
もちろん壊れる様子は一切ありません。
今回レビューしたのはヴィンテージブライドルレザーを使っており,革の鞣しの段階で1年という年月を余計にかけているのが特徴です。
樫の樹皮を使って作ったオークエキスを徐々に濃度を濃くしながら革に染み込ませていきます。
その鞣した革に,さらに先ほどのブライドルグリースを染み込ませて完成です。
コシが強く張力に富んでいますが,原始的で非効率な生産方法で稀少な分,傷跡や部分的な濃淡の差が強く出ることや,値段がやや高くなるなどありますが,通常のブライドルレザーで満足できない方は是非検討してみてください。
ファスナーを始め,全体的に大変頑丈な作りです。
ジッパーはスイスのriri社のもので,デザインの他,何とも言えない滑らかさが大変気に入っています。
お札は4か所に入れられますが,1万円札が入る部分は2か所となります。
20万円くらい入れても大丈夫です(2か所あるので1万円だけでも50万円近くは入るでしょうが,100枚は無理です)。
カードは全部で8枚入れられますが,フリーポケットが2か所あるので,そこに紙製のポイントカードやレシートなどを入れられます↓↓
他に留意すべき事柄としましては,全体的に嗅いだことのない革の匂いがします。
最初は違和感がありましたが数年経って緩和しても同じ匂いがして,特別感があって私は好きです。
なお,傷にはめっぽう弱く,爪でひっかくともれなく跡が残りますが,こういうものを刻んでいくのも楽しみだと,気にせずガンガン使っています。
まとめ
ホワイトハウスコックスのブライドルレザーの味わい方と手入れ方法,そして長財布についてこれまでレビューしました。
同社の革製品としては,財布の他にもベルトや名刺入れ,キーホルダーなどがあるので,是非ひとつコレクションに加えてみてはいかがでしょう。
ブラシで愛でていると,物を大切にしている感覚が芽生えて,なんだか優しい気持ちになれます。
ちなみにですが,もし使っている商品に不具合が生じた場合は,英国で修理してもらえるとのことです。
長く使ってこそホワイトハウスコックスの持つ独特な風合いを実感できると言いますが,なるほど,こんなサービスまであるなら,まさに一生かけて味わい尽くせる牛革だと言っても過言ではないでしょう。
贈り物として購入するときを含めて,手入れができるように,手入れ用のクリームを一緒に添えるのがおすすめですね。
イギリスの誇る一流レザー製品で,これまでに気づけなかった楽しみを見つけてください↓↓