俺の中でさ,日本に生まれたなら行くべきところは2つあって,1つは富士山,もう1つが屋久島なんだわ。
そんなことを何度も親友から聞かされていたので,この度,富士登山に挑戦してみることにしました!
といっても,完全に自分が主体となってというわけではなく,毎年富士山に登っている友達に誘われたのが理由なのですが,プランとしては「5合目まではバスで行き,登頂して御来光を見て下山する」という,いわゆる「弾丸登山」の形態です。
当日のスケジュールを始めとする体験談は,終わりのところで紹介している別記事に詳しく書いているのですが,簡単に言えば,夏の富士山を吉田口から登り,山小屋で1泊することはせずにノンストップで登頂するというものになります。
山といえば高尾山(標高599m)にしか登ったことしかないような30~40代の男性が,どのように富士登山を成功させるべきかのヒントになれば幸いです(もちろん,女性やそれ以下の方も同じ方針で臨むことができます)。
今回は,弾丸登山に必要な準備編ということで,どのような持ち物を用意すればよいかを中心にまとめました。
弾丸登山とその心得
富士山の安全指導センター横の看板によれば,弾丸登山は「事前に十分な休息を取らず,夜通し登山すること」ということで,山小屋などで宿泊することなしに,普段は寝ている時間も活動することを意味します。
基本的には推奨されておらず,ケガや病気の発生率が3倍近くまで高まることが示唆されているわけです。
富士登山で救助された人がいるたびに,弾丸登山じゃないのかなどと後ろ指を指されがちなので,実行する以上は最悪の天気を想定した準備が必要となります。
ゆえに,次章から紹介する持ち物は,天気が良い日であれば使うことのないものも含まれていて,やや過剰な内容になっていますが,備えあれば憂いなしです。
弾丸登山のメリットは,日程面や料金面での恩恵を受けることができることなので,万全の準備とあとは当日の体調の変化に注意しながら登るようにしましょう。
富士の弾丸登山におすすめな服装
まずは,服装の準備からしていきますが,日本一の山に,それも弾丸登山で挑むわけですから,とにかく準備は万端にして出かけましょう!
富士山の弾丸登山に必要な服装は以下の通りです↓
登山靴
シューズは運動靴でもなんとかなるという意見もあるのですが,不安な要素はできるだけ少なくしたいので,当サイトとしては登山靴をおすすめしたいところです。
例えば運動靴でメッシュ仕様のものだと,風が足元から入ってきたり,防水・防塵の面で悪天候時の対応が悪くなります。
山の天気は荒れるものですし,砂利や砂埃も凄いです(必須とまでは言いませんが,ゲイターの購入も十分おすすめで,下山道で靴底に小石が入って何回か除く作業をせずに済みます)。
といったわけで,私は登山靴を買うことにしましたが,「重い登山靴だと逆に疲れてしまう」というベテランからの意見もあり,メレルのMOABシリーズをおすすめされました。
結果,購入したのは「モアブ2」となりましたが,かなり本格的な登山にも対応しているので活躍できる場面は広く,ゴアテックスなので防水仕様です。
なお,タウンユースもできて,雨の日や川遊びの日には圧倒的な使用頻度を誇ります。
この前,一緒に虫採りに行った友人が偶然この色違いを履いていたので驚きました。
使いやすいだけでなく,安いのもポイントです!
実際に歩いてみると,地面からの衝撃が軽減され,履き心地もスニーカーのように自然で,全く滑る感じがないわけではないのですが,大きな石を踏んでも滑りにくく,小さな石を強く踏んだときの痛みのようなものは感じませんでした。
実際,富士登山に使っている人も多かったので,一般的にも支持されていることがわかります。
ただし,弱点としては経年劣化するという点があり,複数年経過して寿命が来てしまうと底が外れてしまうとのことで,山のベテランは針金に加え,靴全体を縛るテープのようなものを一緒に持っていくそうです。
とはいえ,普通に履いている分には,4年経ったくらいだと問題ありません。
パンツ
富士の弾丸登山用のパンツですが,素材に注意するようにしてください。
基本的に,ほとんどの服装に言えるのですが,綿(コットン)製のものは吸水したあとの乾きが悪いので避けるようにしましょう。
私は登山用のパンツはおろか,装備と呼べそうなものを何一つ持っていなかったので,今回を機にすべてネットで揃えましたが,ブランドは定評あるノースフェイスで統一しました。
上の画像にある「アルパインパンツ」ですが,使用したところ大変に動きやすく,水もそこそこに弾きますし,蒸れる感じがなかったのが素晴らしかったですね。
暑い日や活動量が増える日の普段着としても役立っています。
シルエットが想像以上に細身に見えるので,口コミを信じて買ってよかったです。
実際,女性でも履いて登山している方を数人見かけました。
「最初からレインパンツで歩けば荷物を減らせるのでは?」とベテランに聞いてみましたが,防水仕様ゆえに暑くなるのでやめておいた方が良いとのことです。
逆に高度が上の方になってくると,雨は降らなくても風や寒さが問題になってくることがあり,その際にこういった雨具を重ね着するようにします。
ソックス
ソックスはスポーツ用のものだと蒸れにくいので安心です。
履かなかったり,薄手のソックスにしないようにしてください。
また,私個人の意見として,アンクル丈のものよりも上まで来るソックスを履くことで,足首をひねるリスクが軽減されるように感じています。
枚数は替え用だったり,脚の疲れを感じるような場面で靴下を2重にすることもあるので,多いに越したことはありません。
私は3足持っていき2足使いましたが,下りでは結構なダメージを負うことになるので,2重にするのもありかと思います。
ソックスの種類として,トレッキング用のものもありましたが,消耗品の印象が強いだけにここはコスパを重視し,運動用のものであればよいかと程よい値段のものをチョイスしました。
程々に厚みがあったので疲れにくかったですが,それ以上にシューズがしっかりしていたので問題なく過ごせたように感じています。
Tシャツ
Tシャツも,先ほどのパンツと同様の理由で,綿素材は避けましょう。
なお,登山中に汗を結構かきますので,臭いが気になる方は替えのTシャツも用意するようにしてください。
私は他に運動するときにも使えるよう,スポーツ用のものを選びました。
なお,保温着としてヒートテックなどをアンダーウェアにしてしまうと,富士山頂付近の氷点下になりうる環境下では逆に寒く感じます(水蒸気を利用して保温する技術を使用しているため)。
私が購入したTESLA社のドライフィットはものすごく汗が乾きやすく,見た目にもほどよい高級感があり,汗をかく時期のワークアウトや寝間着にもぴったりです。
もちろん,これは見せる用のTシャツには不向きなため,5合目について登山スタートとなった時に着替えたときの格好となります。
家を出てバスに乗るまでの間は,この上に見せる用のTシャツを重ね着して行きました(別にファッションにこだわる年齢でもないのですが)。
帽子
「帽子は暑い,そして蒸れる!」という人もいますが,あったほうがいいです。
というか,登山で出会ったほとんどの人が帽子を被っていました。
強い日差しを避けるためにも使うものですが,後述するヘッドライト(必須)を装着するときの不快感も無くなります。
両手はフリーにしておきたいので,日傘などは無理です。
ちなみに上記の「ゴアテックスハット」ですが,あご紐が付いているところに惹かれたのと,つばの広いホライズンハットであったのが決め手になりました。
ゴアテックス素材はおまけとして考えていたのですが,実際雨が降ると,広いつばが便利で使い勝手が良かったです。
実際,敢えてレインコートの帽子を使わず,このホライズンハットを使う登山者も多いと聞きました。
とはいえ,同行したベテランはキャップ仕様でしたので,形はお好みでどうぞ。
山頂の寒さ対策(かつ写真映り対策?)にニット帽を別に持っていく人もいるそうです。
雨具
雨具は上下別に分かれているものを購入するのが鉄則ですが,富士の弾丸登山では,頂上の気温が夏でも体感で氷点下になりうることにも注意を払わねばなりません。
そこで,アウターにもなりかつレインウェアにもなる(さらにはおしゃれな街着にもなるという)ノースフェイスの「マウンテンジャケット」をおすすめします。
大変に格好が良く,今回の買い物の中では一番お気に入りの一品となりました。
無論,雨具はセパレートタイプであればドンキホーテなどで買っても構いませんが,そのときトップスだけではなくボトムスまでしっかり購入することが大切です。
私は,上記のマウンテンジャケットのボトムスとして「クライムライトジップパンツ」を選び,山頂が近くなって風も出てきて寒くなった際に,これを重ね着しました。
こちらは雨具と防寒着を兼ねた用途をするものだと考えてください。
ダウンジャケット
富士登山の上半身の格好についてですが,
- ジャケット
- 薄手のダウンorフリースorトレーナー
- Tシャツ
の3種類の重ね着で対応します。
ただし,2に関して,このうち1つだけ持っていくというのでは心許ないです。
例えば,1からマウンテンジャケット+2からはフリースのみ+3のTシャツの組み合わせだけだと寒いと感じます。
ゆえに,2からは2つをチョイスするようにしましょう。
ダウンとしてはノースフェイスの「サンダージャケット」が軽くて小さく丸められるので運びやすく,もちろん暖かいのでおすすめですが,手軽に買えるユニクロのダウンでも大丈夫です。
私はこれに加えてフリースを買いました。
その他
その他の準備品として,「手袋・下着・タオル」が挙げられます。
手袋は防寒目的だけでなく,岩場を登る際にも使いました。
軍手でもよいのでしょうが,もう少しちゃんとしたものだとより安心できるかと思います。
下着は,スポーツ用の乾きが早く動きやすい素材のものが良いでしょう。
綿だとぐっちゃり濡れてしまいますし,消臭機能の搭載されたものもあります。
タオルは夜の時間帯には首に巻いて風対策とし,昼間は汗対策に使いました。
意外と1枚あるだけでも十分だったりしますが,特に嵩張るわけでもないので,心配な方は複数持っていってください(新品でないと生乾き臭が心配です)。
富士山の弾丸登山におすすめな道具
ここからは服装以外で富士登山に必要なグッズのおすすめを紹介していきます!
リュックサック
リュックサックですが,大きさが悩みどころです。
私は36リットルのものを選んだのですが,45リットルくらいあると余裕が出てベターかもしれません。
前者では,今回紹介した準備を一式入れると満タンになるので,お土産は手で持って帰ることになりました。
とはいえ,絶妙な大きさのおかげで,ちょっとした小旅行にも使えるバッグなので汎用性は高いように思いますし,見た目もその分恰好良いです。
なお,雨が降った時用に「ザックカバー」が要るものですが,こういう登山用のものだとバックパックそのものに付属しています。
さらに言うと,チューブを使って飲料水を飲むための通し穴が開いていたり,チェストストラップにいざというためのホイッスルが付いていたりと,何かと登山に役立つ形状になっているものです。
普通のリュックで登山される方は,リュックサック自体の雨対策もお忘れなく!
ヘッドライト
富士山を弾丸登山する場合,ヘッドライト無しはありえません。
実際,ご来光を見るような場合,入口のところからもうすでに真っ暗なので,道が見えないはずです。
現地ではランタンみたいなものを持って先導する人を1人見かけたものの,基本,懐中電灯を手に持って歩くような人は皆無でした。
ところで,このLED LENSER(レッドレンザー)は自分の好きなブランドで,虫採りに行くときや野外観察用の懐中電灯もこのメーカーのものを使っていたこともあって,ヘッドライトも同メーカーのものとしました。
最高に明るいパワーモード(600ルーメン)で10時間の連続点灯というのは,富士弾丸登山にかかる予定時間ともピッタリです。
この他,ミドルモード(250ルーメン)では15時間,ロー(10ルーメン)だと120時間点灯という3段階の明るさ調節ができる他,首振りの上下や照射範囲の切り替え,そしてUSB充電といった特徴があります。
とはいえ,バッテリーに用心するに越したことはないと思ったので,私はミドルの明るさを多用し,山小屋ではローにして節約しながら登るようにしました。
もちろん,電池切れになりそうな感じはありません。
明るさ的にはもっと安いヘッドライトでも十分なのでしょうが,明るく周りを照らしてあげられるものを自分が持っていると,周りの同行者(友達以外も含む)は各自のヘッドライトを使わずに節約でき,道も見やすいということで大変ありがたがられました。
高山病予防薬
高山病の予防薬であるアセタゾラミドは「ダイアモックス」という商品名のものが有名ですが,私はそのジェネリック版を使いました。
高山病とまではいかずとも,富士山頂に近づくにつれて手先がしびれたり頭が痛くなったりしてきます。
深呼吸をして血液中の酸素濃度を高める工夫をした他,途中の休憩所で眺めに休むなども行いましたが,やはりこういった薬を服用する方が安心です。
私は通販サイトで海外から取り寄せましたが,心配な方は,お医者さんに処方してもらうことですね。
ただし1錠1000円くらいするとの噂で,上記のものだと30カプセルが1200~1400円ちょっとでした。
友人に聞くと,当日の状況や,その人の体質によって高山病にかかるかどうかは変わるそうなので,薬の効果のほどは知る由もないのですが,少なくとも今回の弾丸登山で私は高山病になりませんでした。
使い方は説明書に従いますが,上のものだと歩き出す12時間前に飲みます。
それ以外にパルスオキシメーター(またはスマートウォッチ)も使って血中酸素濃度をモニターするようにしました。
酸素ボンベを使っている人もいましたが,私は使ったことはありません。
食料
登山中の栄養補給ですが,計3食分くらいのカロリーが必要です。
状況によっては,登り始めに下で食事することもできないかもしれません。
とはいえ,途中の山小屋でパンやポテトチップス,カップラーメンなどを買って食べることもできるので,沢山持っていく必要はありません。
ただし,選び方については「系統を分けること」をおすすめします。
私は初回,ほとんど乾燥物にしたために失敗しました。
塩気があるおにぎりやお湯や水で作れるドライフード(カレーやおにぎり)にラムネなど,別系統の食べ物があればどれだけ豊かな食生活を送れたかわかりません(笑)
とはいえ,寒さに震えながら本八合目で買って食べたシーフードヌードルが,それまで我慢してきた分,忘れられない美味しさになったのも事実で,無事帰ってきた今,その時の味を思い出すと涙が出てくるほどです。
とはいえ,中にはうまくいった商品もあり,それはずばり「スポーツ羊羹」となります。
これは大変に美味しく,1本を2回に分けて食べることもできたので重宝しました(私のおすすめはカカオ味となります)。
友人にあげたら大層気に入ってくれて,翌年以降の富士登山に持って行くことにしたとのことです。
アルファ米を使った通常の食事っぽいものも美味しいようですので,色々と探してみてください。
水筒
「ハイドレーション」などとおしゃれな名前が付いていますが,チューブの吸い口を付けて逆さまにして使う水筒です。
水漏れしないかなどと心配もしましたが,道中そのような気配はなく,「冷凍庫で凍らせた状態で当日保温ケースにいれて持っていくのが良い」というアドバイスもあったため,長時間冷たい水を飲むことができました。
行きに2リットル満杯にして臨んだのですが,弾丸登山から帰ったときに調べてみると1リットル弱も残っていました。
私は普段から結構水を飲む人間なのですが,このサイズで大丈夫なのですね。
軽くて扱いやすく,何より値段も安いので,使い捨てにしてしまう人も多いとか。
私は捨てずにもうしばらくは使ってみることにします。
ちなみに,富士山での水事情ですが無料の飲み水はありません。
すべてペットボトルでの購入となりますが,山頂に近づくにつれて水の値段が高くなることにご注意ください。
参考までに,現地で2リットルの水をペットボトルで買う場合,400~600円(店によって違う)がかかります。
トレッキングポール
最近はトレッキングポールを持たずに登山する人の方が少なくなりました。
この傾向は老若男女問わずです。
それだけ,多くの人に支持されていることの裏返しでしょう。
持ちながら歩くと,横の動きのブレが軽減される他,段差のある道を進む際のダメージ量が減るなど,より安定した歩行が可能になります。
値段が高くなるほど重さが軽くなりますが,1万円を超えてくるカーボン製は細い部分が壊れやすかったりと扱いが少し難しくなるので,上のダバダ性のようなもので折りたためるものが無難でおすすめです。
この他,日焼け対策としてサングラスや日焼け止め,またはラッシュガード的なものなど,普段している対策をしてください。
富士山では日光を遮るものが少ないので,日差しの威力は下界よりも強いです。
まとめ
以上,夏の富士山に,5合目から弾丸登山する場合におすすめの持ち物についてまとめてきました。
今回紹介しきれなかったものとして,スマホ(頂上までずっと電波が入ります)やカメラ,現金(1万円で足りましたが,何かあったときのために計3万円持っていくように指導されました),さらには保険証を持っていきましたが,これらは各人のお好みで加減してください。
最後に,富士の弾丸登山に必要な持ち物をすべて書き出してみましょう↓
- 登山靴
- パンツ
- Tシャツ
- 帽子
- 雨具
- ダウンやフリースにトレーナー
- 手袋
- 下着
- タオル
- リュックサック
- ヘッドライト
- 高山病薬やパルオキシメーター
- 食料
- 水筒
- トラッキングポール
- 日焼け止めやサングラス
- 現金
- 保険証
- スマホやカメラ
いざとなったら,5合目である程度の服装や道具を購入したり借りたりできますが,予め備えておくに越したことはありません。
しっかりと準備し,体調に気を付けながら弾丸登山していただけたらと思います。
富士登山を成し遂げた感動は,疲れ切ってしまっている当日より,帰ってきてからの方が強いかもしれません。
是非,実際の体験談も併せて読んでいただけたら幸いです↓
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初めての富士山!吉田ルートに挑戦した体験談
前回は準備編でしたが,今回は,初めての富士山に弾丸登山した感想について,体験談形式でまとめさせていただきたいと思います↓ これから富士山に登山しようと考えている方で,特に初心者の方は,是非参考にしてみ ...
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ここまで読んでくださった方,大変ありがとうございました!