庭に大きな木がいくつかあるのですが,これまでは業者に頼んで剪定してもらっていたわけです。
が,コロナ禍で家にいる時間も増え,ただ木を切るだけなら自分でもできそうな気がしてきたので,本を試しに何冊か読んでみると,思った以上に基本知識は少なく,実際にやってみると簡単にできました。
今回は,庭木を剪定する目的と,切るべき枝や道具の紹介を中心にまとめてみようと思います。
庭木の目的と剪定の基本
私にとって庭木というのは,毛虫が付いたり病気になったり,すぐに大きくなって電線に触れそうになっていたり,隣家や公道に飛び出しては迷惑をかける存在でしかありません。
というのも,私が好きで植えたわけではなく,祖父の時代に植えられたものだからです。
他にも,家を購入したときに勝手に植えられていたのであれば特に愛着を持って育てたりはしないでしょう。
しかし庭木は本来,鑑賞,収穫,目隠し,日よけや風よけを目的として植えられるものです。
確かに,我が家の木たちも花を咲かせ,その香りを楽しめますし,樹形をコンパクトに保っていれば家の印象も変わってくるというのも実感できます。
しかし,そういった庭木の機能を維持するためには「剪定」という名の手入れが必要です。
森で育つ樹木と異なり,庭という限られたスペースの中での木というのは,なすがままに任せていることはできません。
逆に,美しい樹形を保ったままに庭木の機能を守り,虫や病気の原因を予防したり若返らせるためにも毎年剪定しなければならないのです。
もちろん,業者に頼まず素人がやる場合はリスクがあります。
変な時期に切ると花が咲かなくなったり,樹形が崩れて最悪枯れてしまうこともあるわけです。
ですが,それは基本知識さえ押さえておけば避けることができますし,折角庭に木があるのですから,少しでも自分の楽しみにすることの重要さは言うまでもありません。
それでは一体どんなことに気を付ければよいかといえば,
- 切るべき時期を知る
- 忌み枝について知る
- 適切な道具を揃える
ことの3つだと思います。
次章から1つずつみていきましょう!
庭の木はいつ切るべきか
庭の木は種類によって切るべき時期が決まっています。
そこで,実際庭に植えられている木の剪定時期について書かれた本を参考にすることになるのですが,本によって時期が多少ずれていたりするので,そこまで厳密なものではありません。
ここで押さえておくべき基本知識として,ほぼすべての木は,
- 初夏
- 秋~冬
の年2回剪定するのが理想だということです。
どうしても,伸びて悪目立ちするようになってから,「そろそろ切らないと」と思うのが人情ですが,結局まとめてやるとトータルの負担は大きくなってしまうものなので,最低でも年に1回は頑張ってみることを決めましょう。
ちなみに,初夏の剪定は庭木の生育を抑え,秋以降の剪定は樹形を整える目的があるのですが,どちらも不要な枝を切ることに変わりはありません。
とはいえ,成長スピードが遅い木だと,たくさん一度に枝を落としすぎると枯れてしまう恐れがあるので,切りすぎ(葉が一つも残らないような状態)にならないよう注意したいところです。
忌み枝を覚えよう
さて,いよいよ切る作業に話を移しますが,美容師が人の髪の毛を切るように,出すぎている枝を適当に切っては短くしていたのがこれまでの私でした。
いわゆる「刈り込み剪定」だけしか知らなかったことになります。
ですが,実は枝を根元(付け根や節のすぐ上)で切ることが重要だということを知ってから,剪定の仕方は大きく変わりました。
こちらは「透かし剪定」と呼ばれます。
しかもこのとき,どの枝を切ればよいかは明確な基準があるわけで,それが「忌み枝」です。
上の図で赤い色で示したような枝はすべて切りましょう。
固有名詞が複数出てきて覚えにくいのですが,簡単に以下の3つにまとめられます↓
- 向きがおかしい
- 1ヶ所から複数出ている
- 変に伸びている
これらはすべて切るべき枝となります。
向きがおかしい
枝は外側に向かって伸びるものが正常で,上下に伸びていたり木の内部に向かって伸びている枝は根元から切り落としましょう。
あとは,同じような太さの枝が平行に何本も伸びている場合,全部切らなくても1個おきに切るなど,減らす努力をすべきです。
忌み枝の名称としては,以下のように呼ばれます↓
立ち枝:真上に向かって伸びている枝。
下がり枝:下に向かって伸びている枝。
内向き枝:主幹の方向へ伸びてしまった枝。
平行枝:近い位置に何本も平行に生えてしまっている枝のこと。
1ヶ所から複数出ている
続いて,枝の1ヶ所から複数出てしまっている枝は切りますが,左右に立派な枝が2本出ている場合,片方を残すことにします。
細い枝が4本などとまとまって出ているようであればすべて根元から切り落とすか,先端に合って大切そうなら,外側に残っている物だけ1~2本残して,後は切りましょう。
具体的な名称は以下の通りです↓
かんぬき枝:幹の同じ位置から左右対称に出ている枝。メインを1つ決めて,逆側を切る。
ふところ枝:幹の近くで枝の内部に出た弱い枝。
車枝:1ヶ所から車輪のように枝がぐるっと沢山生えてしまったもの。
変に伸びている
最後はある意味,その他的なものですが,木の根元から発生している枝ややたらと長く伸びている枝,または幹の途中からちょこんと出ている枝を切りましょう。
基本的に植物は,幹の末端のところだけが成長するものだと思っておきます。
ひこばえ:主幹の根本付近から生える枝。栄養分を取られてしまうので,更新する意図がなければ切る。
徒長枝:他の枝と比べて,明らかに伸びてしまっている枝のこと。
胴吹き枝:主幹から生えている細い枝で,後から生えてきたようなもの。結局大きくなれずに枯れるので切って構いません。
この他に,枯れ枝や重なった枝,虫や病気にやられた枝などは変な枝に分類されるので,根元から切りましょう。
将来どんな姿になるのかを想像して,不要枝も残す場合があるのも事実ですが,私はそんなセンスがないので不要枝は問答無用で切っていますし,そちらの方がわかりやすいですよね。
剪定に必要な道具
最後に,剪定に必要とされる道具を紹介しますが,基本的には,最初に紹介する3つを用意すればかなりのことができます。
剪定バサミ
3cmくらいの枝まで切れて,剪定で最も活躍頻度が高いです。
片手で扱えるものから,手で長さの長いものまであります。
私は当初,太目の枝を後述のノコギリでしか切っていませんでしたが,剪定バサミを使うとずっと少ない労力で切れることに感動しました。
刈り込みバサミ
刈り込み目的で,細い枝をバサバサ切っていくものです。
表と裏があり,水平に持って刃先が上向きになっている状態(表面)で水平なカットが可能になります。
逆に裏面にしながら使うこともあり,それは曲線的に切るとき(玉づくりなど)です。
のこぎり
太い枝や幹まで切れます。
大工さんの使うような両面に刃の付いたものではありません。
なお,一般的にノコギリで切るときは「引く」と「押す」の2つの動作を行いますが,日本製であれば引くときに力を入れるように作られています。
ゆえに,押すときは力を入れません。
高枝切りバサミ
脚立の使えない高い場所は高枝切りバサミの出番で,先端にのこぎりを付けられるものもあります。
長い方が便利ですが,その分バランスが悪くなって,長時間切ることは疲れてしまってできません。
切った枝を瞬間にキャッチできる機能が付いていて,太い刃が下に来るように構えることで切った細い枝は掴むことができます。
とはいえ,切った枝が落下してくる可能性は拭いきれないため,真下には立たないように斜めの位置からハサミを伸ばすことに注意しましょう。
グローブ
軍手を使うで構いませんが,最近はニトリルゴムを使用し通気性にも優れる3M社のグローブがお気に入りです。
毛虫でかぶれたり,バラのトゲが刺さるリスクがだいぶ低減されました。
植木バサミ
刃先や小枝用の小さなハサミです。
細かい作業が可能で,我が家ではリビングにある観葉植物の枝を切るときにも使っています。
脚立
背が高い木は脚立に乗って作業しますが,天端となる最上段には載らないようにしてください。
その他,ヘルメットやほうき,癒合剤やヘルメットなども使うことになるかもしれません。
なお,剪定道具はプロ用のものが意外と安く購入できますので,是非しっかりしたものを購入してください↓
まとめ
以上が,剪定に必要な基本知識になります。
庭木は手入れが必要ですが,剪定時期としては暑くなる前の時期と,寒くなる前の時期に行うことがほとんどで,うまくできているものです。
切るべき枝については,今回述べた「忌み枝」だけを知るだけでも,だいぶやりやすくなるでしょう。
もちろん,各人の庭にある木について本で調べてみることは大切です↓
切りすぎてしまって不格好になってしまっても,数ヶ月もすれば,成長して目立たなくなっていることも多々あります。
そこまで心配せず,自分の手で挑戦してみてはいかがでしょうか。