今回は,前回ネットで購入した「エクスプローラーI(エクワン)」のレビューをしていきたいと思います。
ロレックスのスポーツモデルの中では手を出しやすく,気兼ねなく日常使いしやすい1本なので,エクワンを通して機械時計の扱い方を学び,より高級なモデルを購入したときに失敗しないように経験を積むことも可能です。
当記事では開封時の様子に加え,エクワンを購入してから1ヶ月後や5年目の状態をまとめています。
富士山にもこれを着けて登ってきたくらいで,結構な時間を共に過ごしているので,これから購入される方は参考にしてみてください!
エクスプローラーIについて
エクスプローラー(explorer)とは,英語で「探検者;探検家」を意味しますが,その誕生は1953年にまで遡ります。
ちょうど同年,世界で初めてエベレスト(標高8849m)の登頂に成功したエドモンド・ヒラリー氏がロレックスの腕時計(ただし,エクワンではない)を着用していたこともあって,「過酷な探検の最中にも十分に時計の役割を果たせるブランド」であることが世に広く認知されました。
ヒラリー氏の偉業を称えると同時に,最も頑強なモデルを作ろうという目的で開発されたのがこのエクスプローラーIであり,時計に「山」のイメージが付与されていることを覚えておきましょう。
「パラフレックスショックアブソーバー」という,独自の耐震装置を備えているところが特徴的で,他のモデルに比べて振動に強いところが評判です。
私自身,海よりも山の方が好きですし,人生において挑戦し続けることを信条としていることもあって,エクスプローラーという名前に込められた不屈の冒険スピリットがとても気に入り,購入することを決めました↓
それから数年が経ち,今ではRef.124270やRef.224270が主流となっていますが,私が購入したのはRef.214270です。
「Ref.」というのはreference number(参照番号)のことで,これら3種類の大まかな違いについて比較すると,以下のようになります↓
Ref. | キャリバー | ケースサイズ | 登場日 |
214270 | 3132 | 39mm | 2010年 |
124270 | 3230 | 36mm | 2021年 |
224270 | 3230 | 40mm | 2023年 |
キャリバーは性能を決めるもので,3132よりも3230の方が明らかに高性能ですが,ケースサイズに関しては個人の好みによって評価が変わりがちです。
なお,Ref.214270は2010年に6代目として登場したわけですが,厳密に言えば,2016年にそれをさらにマイナーチェンジさせたものが流通し始めて,それ以前のものとは区別されています。
マイナーチェンジする前は,インデックスの3・6・9の文字文字盤に夜光塗料が塗られておらず,分針も短かったのですが(ブラックアウトや前期型などと呼ばれますが),改良されたことでより普段使いしやすくなりました。
以下に私が購入したものの詳細なスペックを載せますが,詳しくは次章からレビューしていきましょう↓
Ref.214270の詳細
製造:2016年以降
直径:39mm
厚み:11mm
重さ:126g
防水性能:100m
パワーリザーブ:48時間
日差:-2~+2秒
エクスプローラーIを開封した時の感想
並行輸入品だったので,定価よりも高い75万円弱(2018年の購入です)を支払いましたが,その価格に見合う喜びがあるかどうかは,この箱を開けるとわかります。

より正確には,白い箱の中に上記画像の緑の箱が入っていて,それがかなり豪華なものだったので早速驚いたものです(私自身,ロレックスの時計を購入したのはこれが初めてでした)↓
個人的な意見になりますが,セールで安く買えてしまうものには所有する喜びをあまり感じられません。
ネットで似たようなものが複数ある場合,まずは「高い順に並び替えてみる」ことをモットーとしている私です。
なお,外出すると非常に気疲れしてしまう性格なため,ほとんどのものをネット通販に頼っている私ですが,現物を手に取って決めることがほとんど無いため,価格やブランド名を頼りに購入するのが唯一の工夫だったりします。
幸運にも,最近はブランドが直接公式ショップを運営して届けてくれるようになりましたし,オーダーメイド製でもなければ交換・返品にも応じてくれるため,失敗することが極めて少なくなりました。
ロレックスでは残念ながら公式通販が行われていませんが,海外では認定中古(公式のお墨付き制度)が開始されていますし,そうでなくても並行販売のお店で未使用品を買えるわけですから,大変ありがたいことです。
ちなみに,エクワンの支払いに代引きを選択したため,配達員の方に現金を渡しました。
当時は100万円まで代引きがOKだったのですが(現在は50万円まで),お札の枚数を数える機械を持ってくるわけでもなく,床にお札を広げて数えている姿をただ待っている光景が,今でも非常に鮮明な記憶として残っています。
その後もいくつか時計を買っていますが,何百万円もする時計を購入したときも,普通の買い物と同じように届けられ,中には状態が悪い物が届くこともあるので,並行店選びはちゃんとしましょう。
折角の開封の儀式に水を差されてしまうと,後々までその記憶を引きずってしまうことになります。
ちなみに,私がエクワンを購入したのは「ジャックロード」でしたが,自分の腕回りをあらかじめ伝えておいたのでベルトの長さを調整した状態で届けてもらえて,余った駒は箱に別に入れられていました。
ギャランティーを含めてコンディションは完璧でした↓
ここでの学びとしては,目先の値段の安さではなく,この状態で届くことを最優先に目指すべきだということです。
というのも,並行店で「新品」や「未使用品」と記載されていても,油まみれだったりシールが溶けていたりするロレックスが届いたことがあったからで,その時計を見るたびに
かわいそうなロレックス…
という気持ちが自然と浮かぶほどになっています。
ちなみに,普段使いすればすぐに傷つくことになると知らなかった当時の私は,最初にバックルの2重ロックを外す際にすら,傷が付かないかと冷や冷やしていたものです↓
エクワンが堅牢に作られていること自体は大いに結構ですが,その分,どこもかしこも固めに感じました。
スポーツタイプに属するエクワンはカジュアル向きではあるものの,遠目でみるとピカピカでエレガントな雰囲気も感じ取ることができます。
着ているものに合わせて,カメレオンのように振る舞いを変える賢い時計です。
これがスーツ着用時にも似合うとされる理由なのでしょう。
後でわかりますが,香港で買い付けた個体だったようで,保護用のカバーも付いていました↓
時計の至る所に保護用のシールも付いていましたが,剥がす作業は辛くなかったです。

以下の写真のオレンジ色のところだったり,バックルの見えにくい部分だったりにも保護シールが貼られていて,かなりの数です↓
購入者のコメントを読んでいると,使い始めて数ヶ月経つのに未だにそのシールの存在に気づいていなかった方もいたので,私1人だけではないようです↓
時計を拭く布とブレスレットを掃除するためのブラシを別に買ったのですが,安いセーム革を使うと細かい毛がすごく付着したので,現状,スプレーをかけたらブラシを使わず指で洗い,仕上げにマイクロファイバータオルで水分を拭うことが多い私です。
ちなみに,RolexのHPを訪れると
石鹸の使用はOK。
と書かれていたので,汚れが気になったときに石鹸を泡立てては時計全体に塗り,ブラシでゴシゴシすることもしています。
とはいえ,最初にブラシで擦ってしまうと,金素材の時計ほどではありませんが,すぐに傷が付いてショックを受けることになるでしょう。
なので,最初の1ヶ月が過ぎ,普通に傷が付くことを知ってから行うようにすることをおすすめします(実際,クロスで拭いただけでも小さな傷は付きます)。
1ヶ月使ってわかったエクワンの魅力
エクワンが届いてから1ヶ月ほどが経ち,細心の注意でもって愛でる類の物ではないことを知ってからは,普通に外して地面にも置けるようになりました。
家の門や駅構内の壁にぶつけても何も思わなくなったので,ようやく気軽に普段使いができるマインドになったわけです。
なお,エクスプローラーIはよく「シンプル」と評されますが,私は全くそのようには思いません。
ドレスウォッチほどではないものの,適度にピカピカしていて,傍からじっと見れば明らかに「良質」であることが伝わってくる時計です。
室内灯の下でもベゼルやケースのきらめきにうっとりさせられることがあるので,不思議な魅力を持った時計だと評しておきます。
エクワンの重さは126gですが,ストレスを感じるほどではなかったです。
それまでは30gちょっとしかない軽い時計を着けていて,それ以上の重量の時計は気になっていた私ですが,このくらいの重さであれば程良い存在感があり,慣れて標準になりました。
はるか昔にキムタクがドラマで着けていた36mmのエクワンよりは重たくなりますが,その分ブレスレットの質感は向上していて,別にアクセサリーがなくても腕に一本ロレックスを身に着けた途端,外見が向上することに驚いています。

ジーパンとTシャツでも,このエクスプローラーを巻いているだけで途端に格好が引き締まります!
同じような現象は高級ブランドのアクセサリーを身に着けたモデルさんでも起こるようで,格好良く決まっているのに着ていたものは数千円のタンクトップとパーカーでした。
シルバーのアクセサリーを複数装着したときよりも,ロレックス1本の方が説得力があることもありますし,悪目立ちしません。
39mmという存在感は,細腕の自分でも別段大きいとは感じませんでした。
その他,風防の中にある刻印などの細かい作りが美しいです。
もちろん,指紋はベタベタつきますし,ベゼルやバックルには細かい傷が知らないうちに何本か付いてしまいました。
海外では「マグネットスクラッチ」などと揶揄されていましたが,傷を磁石のように簡単に引っ付けてしまう的な意味で使われているのでしょう。
自ら率先して傷を付けることはないですが,風防がむき出しなので,うっかりどこかにぶつける機会は必ず訪れます。
しかし,そうやって付いた細かな傷は自分しか意識しないものですし,この時計の価値を貶めるものではないので,存在自体を愛すようにしてください。
ところで,ブレスレットの機能紹介のところで触れていませんでしたが,「イージーリンク」というギミックが搭載されていて,腕回りを5mmだけ長くすることができます。
汗でべたつく夏を中心にお世話になっていて,腕周りがなんだかきつく感じる時間帯にも有効です↓
赤い丸部分がカチっと外側に開き,結果的にブレスレット周りが広がることになります。
この部分の固さについて,当初,壊れるんじゃないかとびくびくしながら解除していたのが懐かしいです(もちろん,エクワンはその程度では全然壊れません)。
ちなみに,このブレスレットに使われている金属は体温ですぐに温まるので冷たく感じず,それどころか腕に対して独特な吸い付き方をしてくるので,何とも言えない心地よい装着感でした。
数年使ったエクワンの様子
1年後
時計を光の下で斜めにすれば細かな傷がたくさん見受けられる状態ですが,写真に撮るとほぼわかりません。
鏡に映った姿で確認してみましたが,当初の輝きそのままです。
指紋は撮影前に拭き取りましたが,手袋を使って触るのでなければすぐに多少付着してしまいます↓
手で持ったら,このくらいの指紋は簡単に付くはずです。
なお,以下のように置いてみると,Rolexのエンブレムの素晴らしさが際立ちます↓
姪っ子たちと遊んだ時の話ですが,
このマークカッコいいね!
と言われたので,何も知らない子どもの目にも何かしら訴えかけるものがありそうです。
もっと傷だらけに映ると思っていましたが,1年目も相変わらずのきれいな輝きで安心しました。
5年後
5年使ってみたエクスプローラーIですが,光を反射させながら確認してみると,このように細かな傷が多数確認できます↓
地面に落とすほどの大きな事故は発生していませんが,1年目の5倍くらいの小傷が乗っかった感じです。
この他,2年目に使っていた時計スタンドにゴム素材が使われていて,そこと密着していた部分が跡になって残ってしまいました。
とはいえ,傷がきらめきを阻害するようなこともなく,健全に付き合ってきた感じが出てきて,愛用する頻度は変わっていません。
同じロレックスでも,近所のスーパーに買い物に行く際にデイトナをしていくことはありませんが,エクワンの方は結構あります。
ちなみに,10年経ったらオーバーホールを行うと思いますが,そこで研磨サービスを受ければ新品のようになって返ってくるため,この状態がちょうど傷のピーク時期の半分だと見なすことができるでしょう。
もちろん,オーバーホール時に研磨を依頼せず,持ち主が変わるタイミングで研磨してもらうでも構いません。
いずれにせよ,年数分の変化を遂げていることは事実で,愛着もその分増したことは確かです。
まとめ
こちらは夜光塗料で夜に光っている状態ですが,帰宅途中で見る青いエクワンの光は,数年経っても,所有者にねぎらいの言葉をかけてくれます。
ロレックスは傷が付いても資産価値はほぼ下がらず,オーバーホールで5回くらいはキレイに磨き直せると聞きますから,何十年も気にせずに使うことができるでしょう。
それでも傷に対する不安を抱えている方は,海外で最も支持されていたコメントを最後に紹介するので,以下の精神で乗り切ってください↓
I just wear mine and to hell with the scratches. A fab watch I have worn, even diving (25 meters), in the Himalayas on long 50-mile walks at altitude and always worn in the shower, big variances in temp. I just wear it all the time. I love my scratched up Explorer, worn daily not babied and not over scrutinized. Still working at +3 seconds. Happy with that. Oh, also been dropped and banged, endlessly! Just wear it and every knock and bang is a testament to adventure, even dare I say it exploring 🙂
語句の解説
- To hell with~ 「~なんてクソ喰らえ!」
- fab=fabulous
- baby「注意して扱う」
- bang「ぶつける」
- testament to adventure「冒険の証」
特に,最後の
毎日身に着けるようにしてくれよな!時計に刻まれる傷こそ生きている証。俺たちは人生を冒険している真っ最中なんだからさ!
というセリフが,深く心に響きました。
私は各地のパワースポットを巡る際にはエクワンを忘れずに着けていき,積極的にその土地の水に触れさせるようにしては時計にパワーを溜めることにしていますが,今後の難題も,このロレックスと共に乗り切っていくつもりです。
みなさんも素敵な1本に巡り合えますように!
最後までお読みいただきありがとうございました。