人生において,健康な歯をできるだけ失わないようことは極めて重要です。
遺伝の影響もあるとは思いますが,歯を失うことになったり歯茎が傷むようになったりすることは,歯のケアを怠ったことに起因することが多く,その結果,「歯が痛い」と年中言い続ける羽目になり,好きなものを食べられなくなってしまいます。
それほどの不幸ではなくても,歯が黄ばみ過ぎてしまうと気になりますし,虫歯になってしまうことはできるだけ避けたいものです。
そこで気にするべきは歯磨きですが,単にうがいするだけでも効果はあるとされ,その重要性を意識さえしておけば,あまりに疲れていて「今日は歯磨きはしなくていいや」と思ったときであっても,せめて口をゆすぐくらいのことをして眠ることはできるでしょう。
もちろん,歯ブラシや歯磨き粉にこだわることは重要で,数千円で買える電動歯ブラシであっても,それまで手磨きしかしていなかった人からすると確かな違いを感じられるはずです。
なお,今回注目するのはどちらかというと「歯磨き粉」ですが,電動歯ブラシに搭載されている機能を分析することで,どのようなケアが求められているのかを探るところから始めましょう!
電動歯ブラシに学ぶ歯磨きに求められること
電動歯ブラシは,
- 入門機(オムロン製のものが有名で3000円程度)
- 標準機(ブラウン製のものが有名で8000円程度)
- 高級機(パナソニックやフィリップス製の数万円のもの)
に分けられますが,エントリーレベルであっても手磨きとは別次元であることが実感できる他,同じ企業が作っているものでも機能の違いでランクが分かれています。
例えば,私が長年愛用しているソニッケアーも「シンプル・エントリー・プレミアム・最上位」のように4つのシリーズがあり,一番安いものが5000円程度であるのに対し,最上位機種は5万円以上するわけです↓
「本体はブラシの方である」と言っても過言ではありませんが,本体の機能に差が付けられており,その実力を発揮するために最上位機種は特殊なブラシを必要とします。

結果的に,歯垢除去率は同じソニッケアーであっても3倍くらい違くなります。
ここでは,以下の9900プレステージを例にみてみましょう↓
歯垢の除去
まず,歯垢除去はどのシリーズでも可能ですが,歯垢が残ると虫歯になってしまいます。
なので,手磨きして20回くらい往復させたいところですが,そこまでしないと除去できない歯垢が,電動歯ブラシだと簡単に除去できてしまうところが大きな魅力です。
その理由の1つは,人間では実行不可能な速度で歯ブラシを動かすことができるからで,フィリップス社の説明によると,手磨きが分速300回であるのに対してソニッケアーは分速31000回となり,水流を引き起こして歯垢をかき出すことまでしてくれます。
ステインの除去
ついでにステインも除去でき,これに関してはブラシの良さが大きく影響していて,凝った形状になっているわけです。

歯医者さんに行って,回転ブラシのようなもので擦られてようやく着色を除去できることをみなさんよくご存じだと思います。
これが,電動歯ブラシを使うことでもある程度再現できるわけで,コーヒーやポリフェノールが含まれるお茶(ルイボスティーとか緑茶など)による着色は,放っておくと目立つようになってしまうことを覚えておきましょう。
ティーカップなどであればキッチンハイターなどで白くできますが,歯にそれをすることはできません。

歯茎のケア
そして,最後に歯茎のケアが挙げられ,これは基本的に歯周ポケットを掃除することを意味します。
歯が埋まっているところのスキマを掃除するわけですが,手磨きで行う場合,柔らかい歯ブラシを選び,歯に角度を付けて押し当てて小刻みに震わせるテクニックを必要とするため,歯医者さんで習わない限りできないですし,そもそもしようと思わないでしょう。
ちなみに,このときソニッケアーを用いると,長い毛先が歯周ポケットに入り込んで掃除してくれるだけでなく,強く歯ブラシを歯に押し付けて歯茎を傷つけてしまわないよう,歯磨きの強さを自動的に調整してくれます(歯茎にかかる圧力は,手磨きの半分となります)。
なお,上で紹介した機種の場合,歯茎を適度に刺激したり(ディープクリーンモード),歯につやを出す動きがあったり(ホワイトプラスモード),知覚過敏に適したモードや舌磨きモードも搭載されているのが特徴です。
歯磨き粉の実力
今では,歯医者でしか買えないようなものもネットで購入することができます。
「歯科医院専用」などと書かれたものがそれで,値段は市販品よりも高く2~3倍することもざらで,上の画像に並んでいるものは私のお気に入りですが,左2つがそれで,100gあたり「2500円・1450円」ほどです(右のものは900円です)。
もちろん,市販品の能力も年々上がってはいますが,能力はやや劣ります(高濃度の成分や特殊な薬用成分が含まれない)。
一見,どれも変わらなそうな歯磨き粉ですが,使用目的は決して同じではありません。
使い分けることが重要です。
歯磨き粉の効果としては以下のようなものが知られています↓
歯磨き粉の効果
ステインの除去:歯ブラシと異なり,アルカリ成分でステインを浮かせたり,含まれる粒子によってステインを除去できたりします(ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウムやLime粒子など)。
ヤニの除去:こちらは喫煙によるもので,着色部分を溶解させるものが多いです(ポリエチレングリコールやマクロゴール400やポリビニルピロリドンなど)。
口臭予防:口臭の原因とされる菌を殺すことで,口臭の発生を予防します(ラウロイルサルコシンナトリウムなど)。
歯垢除去:虫歯や歯周病の原因となる歯垢を除去します(フッ素が有名です)。
歯石予防:歯石が沈着するのを防ぎます(ゼオライトなど)。
再石灰化:それ用の薬用成分が配合されています(フッ化ナトリウム)。
歯周病予防:歯がしみたり痛んだりするのを防ぎます(硝酸カリウムやグリチルリチン酸モノアンモニウムなど)。
電動歯ブラシは物理的に作用しますが,歯磨き粉は化学的に作用するところが異なります。
もっとも,1本でこれらのうち複数が期待できるとされていることがほとんどなので,ウリとされている部分に注目すると選びやすいでしょう。
歯磨き粉の使い方
食後に歯磨きするのが理想ですが,そうでなくても朝と夜の2回は行いましょう。
家で歯磨きすることになると思うので,歯磨き粉を使い分けるようにしてください。
朝に使うポイント
例えば,朝にコーヒーを飲む方はステイン除去に強いものを用いて歯磨きをするようにしますし,外出した後のことを考えて,口臭防止のものを使うことも考えられるでしょう。
その用途にピッタリなのはブリリアントモアで,これはステインの除去と口臭防止の両方の効果が期待でき,前章で述べたように,お手頃な価格設定となっています↓
もう1つのおすすめはルシェロ歯磨きペーストホワイトで,これは口臭予防は書かれていませんが,歯科医院用なので強力です↓
ちなみに,朝は手磨きにして,夜に電動歯ブラシを使うこともできます(手磨きも念入りに行えば,電動歯ブラシより効果的となる場合があります)。
夜に使うポイント
夜は虫歯予防の効果が高いものを用いるのが良いでしょう。
寝ている間は唾液の分泌が減り,虫歯菌が増殖しやすくなります。
なので,歯垢除去に強いものを用いることが重要です。
余談ですが,歯磨きの後はフロスも使用して,歯と歯の境目のケアもしましょう。

私は,歯垢除去に強く再石灰化を促してくれて,さらに歯垢や着色汚れを付きにくくしてくれるアパガードリナメルを主に使っています↓
ちょっと値段が高いですが,それに見合うだけの性能です。
まとめ
今回紹介した
- 電動歯ブラシ
- 歯磨き粉
- フロス
は「歯磨きの3種の神器」と呼ぶことができます。
電動歯ブラシは歯がつるつるになりますし,手磨きよりも歯茎を傷つけません。
歯磨き粉は必要に応じて使い分けることが重要で,ステイン除去や虫歯予防に有効なものを中心に3つほど紹介しました。
上では触れませんでしたが,味の好みもあるので,これだというものが見つかるまでに時間がしばらくかかることを覚悟しましょう。
フロスは1日に1回使うようにしますが,その程度の頻度であれば歯茎が傷むことはありません。
もちろん,毎年1回歯医者に行って定期健診をしてもらって万全となりますが,上で紹介した方法で歯磨きができていれば大きなトラブルには至らないでしょう。
誕生日に行ったり,暖かくなった春に行ったりするなど,マイルールを決めておくとわかりやすいです。
歯のトラブルは,人生の後半において大きくものを言うようになります。
糖尿病や痛風患者もそうですが,好きなものが食べられないのは非常に辛いことです。
歯の状態が悪く,入れ歯も満足にはめることができない高齢者の方で,毎日「歯が痛い」と言いながら晩年を過ごす様子は見るに堪えません。
後悔しないよう,早い段階から歯磨きに気を配るようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。